トゥーン調MMD 動画の解説2 (2019/03/27)
この記事では、ニコニコに投稿した以下のトゥーン調動画について、使用したエフェクトとその解説、並びに使用したパラメタの公開などをしていきます。
目次
トゥーン化について
本動画では、MMDを使ってアニメっぽい画面作りを目指す「トゥーン調MMD」というものを試みています。動いているとイマイチなのですが、一時停止してみるとなんだかアニメっぽいいろはちゃんになっていると思います(多分)
↑本編の切り抜き
↑サムネ画像
トゥーン調MMDの概要は、以下の記事の最初の方を読めば大体把握できると思います。興味を持たれた方は是非モデル改造編やエフェクト編もご覧下さい。
PAToonについて
概要と利点
本動画では、PAToonというエフェクトを使用してます。
seiga.nicovideo.jp このエフェクトは、HAToon2というトゥーンシェーダー(モデルにアニメっぽい影を付けるエフェクト)に、LocalShadow等の、影を細かく調整するための各種補助エフェクトを複合させたエフェクトです。調整機能が付いたことにより、アニメ特有の影の付き方がより出しやすくなっていて、さらに、pmxコントローラ形式のためエフェクトのパラメタ調整が非常にやりやすく、かなりおすすめです。
詳しい使い方については、readmeや作者様の解説ページなどをご覧下さい。現在進行形で更新が行われているエフェクトなので、最新情報についてはtwitterなどで検索してみましょう。
↓このツイートから始まる一連のツイートも参考になります。
PAToonの使い方メモまとめないとなあと思いながら結局やらないので、ツイートでメモ(たぶんまとまらない)
— P.I.P (@lllovelll) January 30, 2019
PAToonKey2.96+β
この「+β」版はPAToonの最新版で、新たにアニメ的表現を補助する様々なエフェクトを融合させたベータ版となっているそうです。
βで加わった新機能のうち、球法線化と絶対壁については、今回の動画で用いたので次以降の項で詳しく述べます。
他のエフェクトについてものすごくざっくり述べると、嘘パースは、手や武器など画面手前側に来ているものを、実際よりも大きく描くことで、画面に迫力を出すアニメ特有の手法のことです。嘘視野角は、前景の視野角と背景の視野角を別々に操作する機能のことだそうです。嘘パースや背景の視野角などについては、以下の記事様を読むと大体理解できると思います。(エフェクトの話ではなく、MMD標準機能の「パース」中心の記事です。「手が小っちゃくなっちゃう」のをエフェクトで修正するのが嘘パースエフェクトです。それぞれ視野角の異なるモデルと背景の合成をMMDのソフト上で行うのが嘘視野角です。)
仕事床は、地面にモデルさんの姿が反射されるおしゃれなアレです。通常版の仕事床エフェクトではモデルにシェーダ等のエフェクトが掛かっていない姿が反射されてしまうところを、トゥーンシェーダが付与された姿が反射されるようにしたのが今回のベータ版だそうです。
subcameraはよく分かりません(すみません)
球法線化について
(後でもう少し追記します。すみません)
まず、MMDにおける法線とは、数学で出てくる法線とは意味が異なり、ざっくりいうと「光を反射する方向を示す矢印」という意味です。この法線をいじってやると、モデルへの影の付き方が色々と変わります。
法線については以下の二つのサイト様の解説が分かりやすいです。(二つ目のサイト様の、法線マップは今回は関係ないので、その部分はスルーして最初の方だけお読みください。)
球法線化とは、モデルの顔部分の法線を、球体が持っているような法線に近づけてやることで、モデルの顔に掛かる影をアニメっぽい掛かり方にしてやろうというやつです。
取り敢えず以下のサイト様を参照下さい。真ん中の方に出てきます。
絶対壁ver1.1について(別記事)
絶対壁エフェクトとは、配布動画様から引用すると、「平面ポリゴンを読み込んで、その平面を超える頂点は平面まで戻され、平面に張り付く」というエフェクトです。詳しくは配布動画様をご覧下さい。
様々な使い方ができるエフェクトですが、私はトゥーン調にしたキャラクターをさらにペーパーマリオとかスマブラのMr.ゲーム&ウォッチみたいな感じにしたかったので導入しました。 ver2.1も既に出ているのですが、PAToonKey2.96+βがver1.1の方に対応していたため今回は使用を見送りました。
このエフェクトは、Croquisなどのモデルの位置情報を読み取るエフェクトと併用する際にある問題が生じるため、一緒に用いるエフェクトを改造してやる必要があります。この具体的方法については、長くなってしまったので別記事にしました。
使用エフェクト、描画順、パラメタなど
使用エフェクト
注:「*」印が付いてるエフェクトは、絶対壁対応の為に前述の方法で改造。
PAToonKey2.96+β P.I.P 様
*AutoLuminous4 sm19843111
*Croquis改_v2 im3705513
*ExShadowSSAO sm19123817
*ExcellentShadow2
*XDOF そぼろ 様
o_SelfOverlay_Soft im1561862
o_LikeHDR im2004305
o_diffusion sm13813270
SSAA_L3AA im3800138
絶対壁エフェクトv1.1 sm33885933
描画順
MMDの画面からスクショしました。↓
今回はおたもん 様のやり方を参考にして並べてみました。
@GLaDOSlove @wolfinarc_ その中だとSSAO→FOG→DOF→GodRay→Diffusionかなぁ GodRayが微妙で、遠方で霞んでほしいならFOGの前、遠方でボケてほしいならDOFの前ですが、違和感が目立つ場合のほうが多いのでこの位置がベターかと
— おたもん (@o_tamon) July 6, 2013
@GLaDOSlove @wolfinarc_ 無理やり解説するとSSAOは物体に付く影なので最初、FOGは空気の層の表現なのでDOF(レンズの焦点表現)より前、Diffusionはレンズフィルタなので最後、てカンジ。GodRayはこの中で言うとFOG同等だけど違和感が少ない方で
— おたもん (@o_tamon) July 6, 2013
おたもん様流の描画順の方法論は、このページ↓からダウンロードできる「第1回 関西MMD勉強会 in 大阪 #4 発表資料」にも詳しく載っています。
パラメタ
動画で使用したパラメタです。
アクセサリ
表にまとめました。↓
X | Y | Z | Rx | Ry | Rz | Si | Tr | 親 | |
Croquis | 1 | 1 | 0.34 | 3 | 0 | 0 | 0.5 | 1 | 地面 |
ExcellentShadow | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 地面 |
ExShadowSSAO | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 地面 |
AutoLuminousBasic | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 地面 |
o_selfOverlay | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1.25 | 0.7 | 地面 |
o_LikeHDR | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.3 | 地面 |
o_Diffusion | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.7 | 1 | 地面 |
XDOF | 0 | 0 | -7 | 0 | 0 | 0 | 2.5 | 1 | 絶対壁v1.1 センター |
L3AA | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 地面 |
PMXモデル
◇PAToonコントローラ
・「球法線中心」の外部親:「金剛いろは」の「頭」
・座標パラメタ(変更したものだけ)
X | Y | Z | Rx | Ry | Rz | |
シェーダー | 0 | 0 | 0 | -2.29172 | 0.573413 | -0.02293 |
セルフ影 | 0 | 0 | 0 | -7.63671 | 8.18572 | 12.5 |
影 RGB | -2 | -2 | -2 | 0 | 0 | 0 |
球法線中心 | 0.757506 | -0.16921 | -0.55101 | 0 | 0 | 0 |
照明方向/位置 | -8.78E-07 | 0.597414 | -0.93231 | 0 | 0 | 0 |
・表情モーフの値(変更したものだけ)
球法線化 | 0.68 |
Y法線ゼロ |
1 |
◇絶対壁
・座標パラメタ(変更したものだけ)
X | Y | Z | Rx | Ry | Rz | |
センター | -1.03E-05 | 10.7534 | -2.84163 | 89.9802 | -180 | -180 |
・表情モーフの値(変更したものだけ)
絶対度弱める | 0.04 |
fxファイル
絶対壁改造以外で、操作パラメタの部分を改造したもののみ記していきます
◇Croquis.fx
・34行目「#define AO_EDGE_SCALE 4」に。
・50行目「#define USE_EDGE_STRENGTH_DISTANCE_CONTROL」を有効化。
使用モデルやお借りした楽曲、モーションなど
モデル
・金剛いろは <(C)Appland, Inc.> td49918
*改造:テクスチャをベタ塗り、全材質スフィアマップ無効化、全材質エッジ無効化、材質25の「ハイライト」をAutoLuminous対応化(反射色0、反射強度100.8)、顔材質のセルフ影をオン、顔材質を球法線対応化(反射強度3.239)、髪の嘘影(材質51「髪落影」)にPAToonと同じ影色の単色テクスチャを導入
Toonマップは削除するとPAToonの影が付かなくなってしまったので、切りませんでした。
・MMD液晶ディスプレイ_150112(MMD液晶モニター超大型) ヌルテカP 様 im4589105
ステージ
・サイハテ風ステージA yuduki 様 im6685150
*極北P 様のVMDSpectrumでステージ用モーションを作成(band数6,フレームスキップ3)
・単色スカイドーム しゃち 様 im5788885
*エフェクトの副作用で背景が黒くなってしまったので導入。
楽曲とモーション
・楽曲:「サイハテ」 小林オニキス 様 sm2053548
・モデルモーション:NIMO7 様 sm15852451
・カメラモーション:p_philosophie 様 sm29736298
おわりに
正直需要があるのか良く分からない情報ばかりですが、少しでも皆さんのお役に立ちましたら幸いです。
あと、ブログのサブタイトルなどに示している通り、私はトゥーン調(アニメ調)MMDにハマっております。まだろくに技術もない初心者のくせにわざわざ動画にこのような記事を付属させているのは、トゥーン調MMDへの参入コストを少しでも下げるためで、こうすることによってアニメ調の作品を作ってくれる方が増えてくれると良いなという下心からです。
トゥーン調MMDもっと流行れ!